■ 5G と エッジ・コンピューティング
FinTech から RegTech へ
ドコモ、 AU 、ソフトバンクと国内キャリアでも 5G のプレサービスが始まっています。
5G は、大容量高速だけでなく、低遅延、大量同時接続で、自動運転や IoT のインフラとして期待されています。しかし、低コスト化にはまだまだ課題があり、実際の利用シーンでは、プライオリティに応じて、 4G 、3G との使い分けが必要となりそうです。
特に、自動運転や IoT などの大量の映像データを扱う場合は、すべてを 5G で送信し、クラウドで処理するのは現実的ではなく、できるだけ端末(エッジデバイス)で AI 分析などの処理を行い、必要な結果をクラウドで収集・集約するというエッジ・ヘビー・コンピューティングに注目が集まっています。
アプリなど処理そのものが分散した環境の発展には、プラットフォームが重要になります。
IoT の分野では、i-mode で起こったようなアプリ・プラットフォームの覇権争いが始まっています。
金融の分野では、まだ明確に 5G のメリットのあるユースケースが出てきていませんが、 リアルタイムの大量通信、大量接続により、 PC からモバイルへの動きが加速するでしょう。
端末の高性能化はとどまるところを知らず、今後、セキュリティや ALM・KYC・CTF などの分野での応用も期待され、ますますモバイルデバイスの役割が重要となってくると思われます。
ハード/インフラの進化は、同時に悪意を持った反社会勢力にも利用されてしまいます。
暗号資産では、テクノロジーの進化による恩恵を、悪意の利用よるデメリットによって打ち消されかねないような状況であり、当局の極端な規制強化につながっています。
金融事業者は、これに対応するコンプライアンスコストの増大と利便性の低下に悩まされています。
JP モルガン・チェース銀行では、法規制対応に、全従業員の6%、1万3,000人を増員し、20億ドルのコスト(利益の1割)をかけ、ドイツ銀行では13億ユーロを費やしています。
こういった問題に対処するため、RegTech の実験場として、英国を中心に Regulatory Sandbox という、革新的な金融サービスを提供しようとする業者に対して、審査に通れば現行法適用を除外し安全な実験環境を適用しようとする動きがあります。
日本でも、この分野でのテクノロジー開発を早急に強化する必要があると思われますが、当局の動きは鈍く、こういった遅れが世界的な競争力の低下につながることが懸念されます。